家まで来てもらうのは手軽ですが、自宅で一対一という状況は、店に持っていくのとは違います。
断りにくいと感じる人もいます。
ただし出張買取には、宅配や店頭にはない守りが法律で用意されています。8日以内なら取り消せるうえに、その8日間は品物を渡さなくてもかまいません。
そこで今回は、その守りの中身と、呼ぶ前にやっておくことをまとめました。
出張買取だけにある3つの守り
出張買取は法律上「訪問購入」と呼ばれ、特定商取引法で守りが定められています。
1 8日以内なら取り消せる
契約の書面を受け取った日から数えて8日以内なら、理由なしで取り消せます。違約金も損害賠償も必要ありません。
取り消しの連絡は、書面でも、電子メールなどでもかまいません。あとで証拠になるよう、書面なら特定記録郵便か簡易書留で送り、メールなら送ったものを保存しておいてください。
さらに、業者が嘘を言ったり威圧したりして取り消させなかった場合は、8日を過ぎても取り消せます。
取り消した場合、品物の返却や代金の返金にかかる費用は業者負担となります。もちろん、利息を返す必要もありません。
2 8日間は品物を渡さなくていい
これが出張買取でいちばん強い守りです。
契約したあとでも、8日間は品物を手元に置いておけます。渡さなくても、契約違反にはなりません。
しかも業者には、引き渡しを受けるときに「渡さなくてもよい」と告げる義務があります。この説明がない業者は、その時点で法律を守っていません。
一度渡すと取り戻す手間が増えます。迷いがあるうちは渡さないでください。
3 断ったら、もう勧誘できない
売らないと伝えたあとに勧誘を続けることも、後日あらためて勧誘することも法律で禁止されています。
「せっかく来たのに」と言われても、応じる義務はありません。
ただし、守られない品もある
注意が必要な点があります。一部の品は、そもそも訪問購入の規定の対象外です。
対象外になるのは、次のものです。
| 対象外の品 | 具体例 |
|---|---|
| 二輪以外の自動車 | 四輪の自動車。バイクは対象に含まれる |
| 家具 | たんす、机、ソファ、ベッド、金庫など |
| 大型の家電 | 冷蔵庫、洗濯機、エアコン、テレビなど |
| 本・CD・DVD・ゲームソフト類 | 事典、全集、雑誌、単行本、音楽CD、ブルーレイなど |
| 有価証券 | 株券など |
家の片づけで出てくるものが多く含まれます。これらは8日以内でも取り消せません。
逆に、バッグ・財布・時計・貴金属・宝石・着物は対象です。ブランド品を売るなら、3つの守りがすべて使えます。
【重要】呼ぶ前にやること
相場を調べておく
これがいちばん大事です。
査定の金額を言われたとき、それが妥当かどうかを判断する材料がなければ、その場で決められません。相場を知らないまま聞くと、「そういうものか」と思ってしまいます。
ルイ・ヴィトンなら、型番ごとの中古相場をトップページの型番検索から調べられます。型番の探し方は型番の調べ方にあります。
ここで見られるのは中古市場の相場で、買取価格とは別物です。買取価格は、そこから店の利益と手間を引いたものになります。ただし相場を知っていれば、提示された金額が極端に低いかどうかは判断できます。
売る物と売らない物を分けておく
売る気のない物は、別の部屋にまとめておいてください。その場の流れで出してしまうのを防げます。
査定の最中に「ほかに貴金属はありませんか」と聞かれても、出す義務も答える義務もありません。「今日はこれだけで」と言って構いません。
貴重品を片づける
財布、売る予定のない貴金属、郵便物などは先にしまっておきます。査定する場所を広く取る意味もありますが、万一のときの備えでもあります。
品物の内容を先に伝えておく
申し込みのときに、ブランド名・型番・個数をできる範囲で伝えておくと、当日の話が早くなります。事前に伝えておくことで、査定額が低めに付けられるといったトラブルも減らせます。
出張料・査定料・キャンセル料を聞いておく
多くの業者は無料ですが、かかる場合もあります。答えを濁す業者は、そこで保留にして構いません。
当日の流れと、確かめること
| 段階 | 確かめること |
|---|---|
| 1 来訪 | 社名と担当者名を名乗ってもらう。業者には勧誘の前に名乗る義務がある |
| 2 場所を決める | 玄関先で見てもらうか、家に上がってもらうかは、こちらが決めてよい |
| 3 査定 | その場で決めなくてよい。「家族と相談します」で十分 |
| 4 金額の提示 | 根拠を聞く。相場と比べて判断する |
| 5 契約 | 書面を必ず受け取る。これがないとクーリングオフの起算日が決まらない |
| 6 支払い | 振込が一般的。その場で現金を渡す業者は減っている |
行商従業者証を見せてもらえる
中古品を扱う業者には、公安委員会の古物商の許可が必要です。そして訪問して買い取る人は「行商従業者証」を携帯する義務があります。許可番号が記載されています。
見せてもらって構いません。断る業者は、その時点で疑ってください。
書面に何が書かれているか
契約の書面には、買取価格・支払時期・引渡しの時期などに加えて、クーリングオフと引渡しの拒絶について書く義務があります。
しかもこの2つは、赤枠の中に赤字で、8ポイント以上の大きさで書く決まりです。目立つように作られているはずのものです。見当たらなければ、その場で聞いてください。
これは違法です
知っておくと、その場で判断できます。
| 行為 | なぜ違法か |
|---|---|
| 頼んでいないのに訪ねてきて勧誘する | 飛び込みでの勧誘は禁止されている |
| 「査定だけ」と頼んだのに、売るよう勧める | 査定を超えた勧誘は法に触れる |
| 断ったのに勧誘を続ける/後日また勧誘する | 再勧誘の禁止 |
| 名乗らずに勧誘を始める | 業者名・目的・買いたい物の種類を先に告げる義務がある |
| 書面を渡さない | 契約時の書面交付は義務 |
| クーリングオフについて嘘を言う | 嘘や威圧があった場合、8日を過ぎても取り消せる |
頼んでいない訪問には、玄関を開ける必要もありません。インターホン越しに断って構いません。居座るようなら警察に連絡してください。
困ったときは、消費者ホットライン「188」に電話すると、最寄りの消費生活センターを案内してもらえます。
出張買取が向く場合・向かない場合
| 向く場合 | 向かない場合 |
|---|---|
| 点数が多くて運べない | 1点だけで、自分で持っていける |
| 説明を対面で聞きたい | 家に人を入れたくない |
| 家の片づけで量が読めない | 売るものが家具や大型家電が中心(対象外) |
| 重いものや壊れやすいものがある | 相続の話がまだ済んでいない |
家に人を上げたくない場合は、宅配買取という方法もあります。ただし宅配買取にクーリングオフはありません。それぞれに向き不向きがあります。
| 売り方 | クーリングオフ | 引渡しの拒絶 |
|---|---|---|
| 出張買取 | 使える | 使える |
| 宅配買取 | 使えない | — |
| 店に持っていく | 使えない | — |
業者を選ぶときに見る点
| 見る点 | なぜ |
|---|---|
| 古物商の許可番号が公開されているか | 中古品を扱うには許可が要る |
| 住所・固定電話・責任者が公開されているか | 連絡が取れなくなると取り消しもできない |
| クーリングオフについて説明があるか | 説明は義務。触れていない業者は避ける |
| 出張料・査定料・キャンセル料が明記されているか | 後で揉めるのはここ |
| 飛び込みではなく、依頼に応じて来るか | 飛び込みは違法 |
| 扱っている品目に合っているか | 得意分野が店によって違う |
許可番号は、各都道府県の公安委員会が公開している一覧で確かめられることがあります。ただし許可を受けていても載っていない場合があるので、載っていないことだけで判断はできません。
よくある質問
査定だけ頼んで、全部断れますか
断れます。売らない意思を示したあとの勧誘は禁止されています。「今日は売りません」で構いません。
その場で現金をもらえますか
一昔前までは現金受け渡しが主流でしたが、振込が一般的になりつつあります。訪問する人の安全のため、現金を持ち歩かない業者が増えています。
家族の物を売れますか
持ち主の同意を得てからにしてください。本人確認の書類も必要です。
女性が一人でも頼めますか
家族が在宅の日時を選ぶ、玄関先で見てもらう、誰かと電話をつないでおく、といった工夫ができます。家に上げるかどうかはこちらが決めてよいので、玄関先で断っても構いません。
契約したあとで気が変わりました
書面を受け取った日から8日以内なら取り消せます。まだ品物を渡していなければ、渡さずに手元に置いたままで構いません。
大型の家具も一緒に見てもらえますか
見てもらえますが、家具や大型家電はクーリングオフの対象外です。また、古いものや壊れているものは値段がつかず、処分費を求められることもあります。かかるかどうかを先に確認してください。
呼ぶ前に、相場を見ておく
当日その場で判断することになるからこそ、先に調べておく価値があります。
ルイ・ヴィトンなら、型番ごとの中古相場・中古流通数・推移グラフが見られます。相場は毎週更新しています。トップページの型番検索から探せます。
高く売るための準備は高く売るコツの記事に、家に人を上げたくない場合は宅配買取の記事にまとめています。

ブランド品 相場データベース BRAND X 監修
リサイクルショップの元店長。約10年買取カウンターに立ち、10万点を超える品物に値段をつけてきた。
買取は不透明だと思われがち。でも値段のつけ方には理屈があって、それが見えれば手放すかどうかを自分で決められる。
買取・査定に関する著書も3冊。『プロだけが知る高級ブランドの見抜き方』『リサイクルショップ買取の現場が教える 査定の値段が見えてくる方程式』『その遺品、捨てたらもったいない』

